シーズン2:エピソード1〜不穏な動き〜
町の外れに寂れた、しかしそれがかえって威厳さえ感じさせるような古
い建物が建っていた。
それにはツタが絡まり、ちょっと近づくのをためらう雰囲気さえ漂って
いた。
その中、ある一室で集会が行われていた。
そこに集った面々は黒い衣装に身を包み、整列して立っていた。
そんな彼らの遥か前には、おおきな椅子に腰掛けた一人の男がいて、大
きな葉巻を吹かしていた。
やがてその男は重々しい口調で言った。
「・・・いいか、お前達も知っての通り我が組織は強い結束力で結ばれ
ている。裏切ったり、外にバラしたりするとどうなるか、分かるな。」
そして男はふうと煙を吐き、こう続けた。
「裏切りの血は末代まで絶やさねばならん。」
「「はい。」」
「・・・あの男を見つけたら報告しろ。始末はわたしが指揮を執る。」
「・・・・大ボス、ですか?」
田中刑事は、眉をひそめて壁にあるボードを睨みつけている吉羽刑事を
見た。
「そうだ。我々が前から洗い出しをしているどでかい組織の親分だ。」
「でもなかなかガードが硬くて見つけるのは至難の技だって言います
よ?」
すると吉羽がボードを思い切り手のひらで叩いたので、田中がびくっと
して目をパチパチさせた。
「でもやるんだ!・・こいつを引きづり出して組織をまるごと包囲すれ
ば、どでかい手柄だぞ。」
すると田中はははーんという顔をした。
「さては、先輩、独り占めしようって思ってますね。そんなのダメです
よ!」
「バカっ、そんなんじゃないっ。」
「ふーん、どうだか。」
吉羽は一瞬田中を睨んだが、すたすたと行ってしまった。ので、田中も
後に続いた。
「ああ、吉羽さん。」
「あ?」
吉羽は彼を引き止めた刑事の方に振り向いた。
「受付からです。」
吉羽は一瞬え?という表情をしたが、受話器を受け取った。
「はい、刑事課、吉羽ですが。・・・・・え?面会?」