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                      〜エピソード9 危機一髪!起爆を阻止せよ!〜




               町の真ん中にある遊園地はとても大きなアミューズメント施設である。
               中はとてつもなく広く、その中央に色々な電飾を付けたメリーゴーランド
              が今日も音楽に合わせて優雅に動いていた。
               そんな雑踏の中、健一、城嗣と華音、そして純子が歩いていたが、彼らは
              久々の休暇で来ていて、とてもリラックスした表情をしていた。彼らは年相
              応の場所に行くのが普通ではあったのだが、彼女が一緒だとどうしてもこの
              ような場所になるようだ。
               華音は、大きなメリーゴーランドを見ると、目をキラキラさせて城嗣の手
              を引っ張った。
               「パパー、あれに乗りたーい。」
               「分かった、でも1回だけだぞ。他にも行きたいだろ。」
               「うん。」
               華音に連れて行かれる感じで城嗣が行きかけると、純子も言った。
               「私も行くわ!」
               そして付いて行き、健一も行こうとしたが、彼はふと視線をある一点に移
              して眉をひそめた。
               一人の男が辺りをキョロキョロと見渡し、いかにも不審な動きをしている。
               そして男が歩き出したので健一はそっと付いて行った。
               やがて男は草むらの陰に来ると立ち止まり、小脇に抱えていた鞄を置いて、
              中を開けた。
               そしてそこから無線のようなものを取り出し、こう言った。
               「仕掛けて来たぜ。」
               男は何かスイッチのようなものを出した。
               健一は男のところへ行った。
               「おい、そこで何をしている。」
               男は突然背後で声がしたので驚きの表情で振り向いた。そして鞄を隠した。
               「・・・・な、なんだ、お前はっ」
               「今、何か隠したろ。」
               「・・・・お前は誰なんだ。・・さては・・探りに来たな。・・・ふん、
               金は俺たちのものだ、誰にも渡さないぞ。ここももうすぐ大爆発だ。」
               健一は息を飲んだ。
               「・・何?もしかして、爆弾を仕掛けたのか?」
               「そうだ。このスイッチを押せばカウントダウンが始まる。」
               男はそう言って持っていた装置のスイッチに指を置いた。
               「やめろ!」
               健一は男を押さえたが、彼はスイッチを押してしまった。
               「・・しまった!」
               男は健一を突き飛ばし、鞄を抱えて駆けて行ってしまった。
               「まてっ!」
               「健!」
               そこへ城嗣たちがやってきた。
               「大変だ、この遊園地のどこかに爆弾が仕掛けられたぞ。」
               「何?」
               「・・なんて事!」
               「・・とにかくここにいる人たちを避難させるんだ。」
               「ああ。」
               「私、行ってくるわ。」
               純子は駆け出してスタッフのいる場所へ向かった。そして事実を話して
              観光客を避難させるよう言ったが、混乱を避けるため、人々には爆弾とは
              言わず、緊急の避難訓練と言うように提案した。

               遊園地にいた人たちが全員避難し、がらんとなった。そしてみながいなく
              なったのを確認すると、城嗣は携帯で佳美に連絡し、応援を頼むと同時に
              華音を連れて署へ戻る事を頼んだ。
               城嗣は突然の事でしょんぼりしている華音を見た。
               「・・・パパ・・もう遊べないの?」
               「華音、パパは仕事して行くからな、先に帰っておいで。今度また来よ
               う。」
               「うん・・・。」
               やがて何台かのパトカーが来て数人やってきた。
               そして佳美も来て、華音を連れて遊園地から出て行った。

               何人かの警察官や刑事らの姿を見て、乗り物の陰に隠れていた一人の男が
              オドオドと出て来て辺りを見渡した。
               「・・・ち、畜生・・・誰かチクりやがったな。・・・横取りしようと言
               う事か。」
               「待て。」
               「うわっ、誰だっ」
               「うるせえっ!」
               城嗣は有無を言わさず相手を殴った。そしてよろけた彼の首を締め上げた。
               「貴様か、爆弾を仕掛けたのは!」
               「・・・し、知るもんか、爆弾って何だよ・・」
               「とぼけるなっ!」
               「・・・・く・・・・くるしい・・・・」
               「吐かねえと、もっと苦しめるぞ。」
               「・・お、お前は誰だ。言われた通りに来ただけだ、爆弾なんか知らねえ
               よ・・。本当だってば・・。」
               城嗣は舌打ちして手を離した。
               「・・くそっ、まだいるのか。おい、おめえ、言われて来たって言ってた
               な。どういう事だ?」
               「・・・隠し金庫にブツを入れたから取りに来いって・・・」
               城嗣は男の持っているアタッシュケースを見た。
               「これは何だ?」
               「・・・か、金だよ・・。それを渡す事になってる。」
               「なるほど、ここで取引しようって寸法か。」
               「・・お、お前は誰なんだよ。あいつらの手先か?」
               城嗣は内ポケットから手帳を出し、男に見せた。
               「・・・・!警察っ!」
               城嗣は手帳をしまいながら男の腕を取った。
               「立て。事情が色々ありそうだから、向こうでじっくり聞かせてもらお
               う。」






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