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                           ーエピソード2 脱獄した女 ー





                  ホントワール国立女子刑務所ー。そこは陸の孤島と呼ばれる、入ったら二度と
                 出られない死の刑務所と呼ばれるところである。
                  中には殺人や詐欺事件など凶悪な犯罪に手を染めた女達がおり、厳重な警備の
                 もとひっそりと暮らしている。

                  『いつやるんだい』
                  『楽しみだねえ。やつらの慌てた顔が早くみたいよ』
                  『あたいたちの代わりに思う存分暴れて欲しいものだ』

                  奥まった独房にその女がいた。何人もの男を毒牙にかけ、殺した凶悪犯だ。部
                 屋の隅に座り、じっとしている。そんな女の足元には一枚の便せんがあった。
                  そして遥か遠くから聞こえてくる足音が聞こえて来たが、自分の部屋の前で止
                 まるのを合図に立ち上がった。
                  「1011、食事だ」
                  女はそっと小窓を開け、そして言った。
                  「脚が痛い。看てくれ」
                  女性刑務官が少しドアを開けると、女はすかさず彼女の髪の毛を掴み、中へ引
                 きずり込んだ。
                  「何をするっ」
                  女は刑務官に蹴りを入れた。
                  「ううっ」
                  女はさらに彼女の顔を足で抑え、腰から拳銃を奪うと、そのまま撃ち、部屋を
                 飛び出した。
                  それから刑務所内でサイレンが鳴り響き、刑務官が追いかけたがすでに女は塀
                 を乗り越え、外へ出ていた。
                  女はそのまま走り続け、バイクに乗ろうとしている男性を蹴り倒し、さらに拳
                 銃で威嚇すると、そのままバイクに股がり発進させた。
                  「・・あ・・あ・・誰かー」
                  男性は声を上げようとしたが、力つきて地面に伏してしまった。



                  健一と城嗣はテレビニュースを睨むように見ていた。刑務所から凶悪犯が脱獄
                 したという内容だからだ。
                  「すげえ女だな」
                  「一体ここの警備はどうなってんだ?みすみす脱獄を許すなんて」
                  「まさか手助けしたヤツがいねえだろうな」
                  「まさか」
                  「でもここは囚人にとって墓場と言われるところだぜ」
                  「しかも女だ。男だってなかなかいないのに」
                  「男は単純だからな。その点、女なら抜け目なくやるだろ、悪女はとことん悪
                  女さ」
                  健一はすっと奥へ行った城嗣を目で追った。やっぱりまだ引きずっているの
                 か、と彼は思った。
                  忘れようとしていたのにな、と健一はため息をついた。








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