どのくらい走っていただろう。やがて車が止まった。
リサは降りると、後部座席に回り、ドアを開けて彼を降ろした。そしてそのまま再
び腕を取り、歩き出した。
そしてどこか部屋らしき場所に来ると、リサは城嗣を座らせた。
「ボスらに会えるのか?だったらこれを外してくれよ。死ぬ前にべっぴんさんたち
の顔を拝みたいからな。まさか、ずっと暗闇に置いてけぼりかい?」
リサはふ、と笑って目隠しの布を外した。
「でも腕はこのままよ。あなたは銃の名手だもの」
「銃は持ってねえよ」
「そう?」
「持つ暇がなかった」
リサはロープを外した。城嗣は彼女が背中を向けた瞬間にポケットに手を入れ、す
ぐさま出して何食わぬ顔をした。
「ここで待ってて」
「ああ」
リサは出て行った。城嗣はじっとドアを見つめた。
悪党のメンバーにしてはまだまだだな。相手の要求をそのまま飲むなんて。俺が脱
走することだって考えられるだろうに。
城嗣は俯いた。
(・・・なんとか助け出したい)
その頃、健一と純子は塀を軽々と乗り越えると、茂みに身を潜めた。
「間違いない、この建物の中のどこかにいる」
健一は小型の探知機を確認すると懐にしまった。
「ここがあの女たちのアジトなのかしら」
「わからん。だが、あいつが連れて行かれたところと行ったらそうだろう。さ、
ジュン、いくぞ」
健一は探知機をしまい、茂みから出た。純子も後に続いた。
女たちは歩いてくるリサを見た。
「指定した部屋にいるわ」
「そうかい」
「それじゃやるか」
女たちは立ち上がった。
そして2、3人残し歩いて行ったが、その部屋の前を見て立ち止まった。城嗣がド
アに寄りかかって立っていたからだ。
「・・・」
城嗣は目を開けて彼女たちの方を向いた。
「姫君たち直々お出迎えとは光栄だな」
「うるさい、ここにきたからには生きては返さないから覚悟するんだね」
「残念だなあ、是非とも君たちを外界へエスコートしてやりたかったのに。楽しい
ぜ?シャバは」
「ふん、楽しい事なんてあるものか。皆冷たいやつらばかりだ、昔からね」
城嗣はその間にもぐるりと彼女たちを見渡した。
「ところで・・ボスとやらはその中にいらっしゃるののかい?」
「いないよ」
「だろうな。そういうもんだ」
「ボスは奥だ。会いたいかい?会わしてやるからついて来な」
手前にいたリーダー的な女がそう言った。「ボスもお前に興味津々だ」
城嗣は言われるままに彼女たちについて歩いた。かなり奥まった場所にあるらし
い。一体どんなやつだ。案外男かもしれんな。
「ここだ」
ドアを開けると女たちは城嗣を突き飛ばし、ドアを閉めた。
「・・!」