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                           ー エピソード15 誓い ー






                リサは目を閉じてうつむいていた。
                彼女の周りには数人女たちが取り巻いていたが、やがて前に立っていた女が口を開
               いた。
                「リサ、お前サツに近づいて何してんだい」
                「・・・別に」
                「まさか情報を売ってんじゃないだろうね。いいかい、裏切ったりでもしたら承知
                しないよ」
                「・・そんな」
                「孤児だから同情して拾ってやったんだよ。私たちは同じ身分だ。だから一致団結
                して世の金持ちどもかを懲らしめてやろうというんじゃないか」
                そして再び沈黙が訪れ、女はこう言った。
                「よし、それじゃその男を連れておいで」
                リサはえ?という表情で目を開けて顔を上げ女を見た。
                「・・何するの」
                女はふふんと笑った。
                「別に取って食おうというんじゃないよ(それもいいね、という周りに声に笑
                う)、話をするだけだ」
                「・・・・」
                「いいね、また逃したら許さないよ」
                女たちは立ち去った。一人残ったリサはうつむいた。


                夕方、署から出てきた城嗣はふと柱にもたれている人物を見た。
                「・・・」
                城嗣は眉をひそめた。署までやってくるとは。大胆な女だな。
                リサは彼を見るとちょっとためらう様子を見せたが、意を決して近づいた。
                「何か用か」
                「一緒に来て」
                「どこへ」
                「・・・私たちのアジトよ。興味あるでしょ」
                城嗣はふーんという表情をした。
                「ボスが呼んでいる、というわけだな」
                「さすが物分りがいいわね」
                「しかし、連れて行くのはいいが、そんなことをして大丈夫なのか?」
                「・・・・」
                「罠じゃねえのか?」
                リサは笑った。
                「ふん、怖くなったわけ?」
                「違う。君が心配なんだよ」
                「・・・・・」
                「俺を連れて来いと言っておいて、君まで殺す気だ」
                「かもね」
                「・・・・」
                リサは歩き出した。城嗣はついていこうとしたが、不意に彼女は立ち止まり、こう
               言った。
                「後ろ向いて」
                「え?」
                「いいから」
                城嗣は言われるままにリサに背中を向けた。と、彼女は布か何かを取り出すと、彼
               の目を覆って後ろに結んだ。目隠しだ。
                「・・・何をするんだ!」
                「黙って」
                彼女は彼の腕をとり、そのまま引っ張るように歩いた。
                「・・・アジトまでの道順を見せないというわけか。さすがに用意周到だな」
                リサは視線を落としたが、ある場所に来ると車の後部座席側のドアを開け、今度は
               ロープのようなものを手にすると、城嗣の両手首を合わせて縛った。そして彼を中へ
               乗せると、運転席に腰掛け、発車させた。







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