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                       ー シーズン2:エピソード8 洗脳 ー




                 健一は交番の中で1人のんびりコーヒーを飲んでいた。
                カウンター奥のコーナーにサーバが置いてあり、いつでも淹れたての熱々が入って
                いた。
                 ので、時々やってくる純子を始めとした女性警官や同僚、時には相談しにきた市
                民などにいつでも提供できるシステムであった。
                 そしてそんないつものような光景であったが、電話が鳴った。
                 健一は受話器を取ると、近くのメモパッドを引き寄せた。
                 「はい、デリカ通り前出張所です。・・・え?人が倒れてる?」
                 ここは町中にある交番なので、市民の安全を守るのが”一応”の仕事であった。
                 交通事故はもちろん、急患を救護するのも彼らの役目でもある。
                 「その人には外傷はありますか?・・・ない。息はしてます?・・・・・顔色が
                 悪い?・・・泡を吹いている?・・・薬か?ーあ、どうかそのまま、触らないで
                 ください。そうそう、救急も呼んでください。場所を教えてくれますか?・・
                 えっと、ライズ通りの角・・・・」
                 ひと通り聞いた健一は通報者の連絡に丁寧にお礼を言うと、外に出て、パトカー
                の整備をしている城嗣に声を掛けた。
                 「おい、事件らしい。」
                 城嗣は下から出て来た。
                 「え?殺人か?」
                 「いや、分からん。とにかく知らせてくれた場所まで飛ばしてくれ。」
                 「やれやれ、これで何件目だ。」
                 「ああ、まただな。」
                 そう、実は似たような案件はここのところ続いていた。みな道ばたや道路のど真
                ん中で人が倒れており、みなうわごとを言ったり中には覚醒したのか暴れる者もい
                た。
                 「変だぜ。何かやってんじゃねえのか?」
                 「・・・ああ、俺も考えてた。でも、救急の者たちはもちろん病院でも原因不明
                 だと言っているらしい。」
                 「新種の薬だな、あれは摘発しても次から次へと出てくる。実にやっかいだ。」
                 2人はパトカーに乗り込んだ。


                 現場では倒れている人を遠巻きに見ている人たちや、介護している警察官や救急
                隊員らでごった返していた。遠くでは、野次馬を手で追い払っている吉羽刑事らの
                姿があった。
                到着した健一と城嗣は、下車すると、そこへやってきた。
                 「どうだ?」
                 「あっ、はい。」
                 1人の巡査が立ち上がって敬礼した。
                 「意識が朦朧していておかしな事を口走っています。」
                 「おかしな事?」
                 「何か・・・暗いところに連れてこられた、とか、注射みたいのを打たれた、と
                 か。それで急に身体がこわばるようになったらしいですが・・」
                 「・・が?」
                 「本人は錯乱状態なので、なんとも言えません。幻覚を見たのかもしれません
                 ね。」
                 2人は顔を見合わせた。
                 そして倒れているサラリーマンらしき男性に近づいた。
                 「大丈夫か?何かやったのか?」
                 「・・・・・・。」
                 男性は身体を小刻みに振るわせてまともに口が聞けないようだ。
                 「とにかく運んでくれ。何か分かるだろ。」
                 「はい。」
                 巡査は救急隊員に話をしに行った。健一たちはじっとその光景を見つめた。







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