「きゃっ、いたっ」
                    警察署から出た純子は、出会い頭に誰かとぶつかり、思わず叫んだ。
                    「・・・・。」
                    「ちょっと、あなた、前を良く見なさい。危なー」
                    純子はその人が自分にもたれかかるようにして倒れて来たので、思わず支
                   えた。
                    「ち、ちょっと!」
                    その男性の目を見た彼女ははっとした。焦点が合わず、口角に泡が付いて
                   る。何か言っているようだったが、よく聞こえない。
                    「待ってて、今救急を呼ぶから。」
                    純子は、携帯を取り出した。


                    交番では、健一と城嗣、そして純子の3人が神妙な顔つきで集まってい
                   た。
                    一体この一連の事件は何なのか。ただの薬物乱用による事件ではないー。
                    とそのときだ。
                    交番入り口のガラスが大きな音とともにヒビが入った。何かがぶつかった
                   のだ。
                    見ていると、1人の男が倒れていた。頭から血を流している。
                    案の定腕を見ると、注射の跡があった。
                    「・・・息してる?」
                    「何とか生きているようだな。」
                    「・・・た・・助けて・・・くれ・・」
                    男はかろうじてそう言うと、気を失ったのかぐったりしてしまった。
                    「呼んでくるわ。」
                    純子は奥へ引っ込んだ。城嗣はじっと男を見下ろした。
                    「おい、どこかに連れ込まれた、って言っていたよな。」
                    健一は城嗣の言葉に彼を見上げた。
                    「裏で何者かが人々を薬付けにしようとしてるんじゃねえか。」
                    「・・何のために?」
                    「犯罪に決まってるさ。薬で洗脳させてとんでもない事をやらかそうとし
                    てるに違いないぜ。」
                    「・・・。」
                    「一体誰なのかしら、そんな事して。」
                    「・・・あいつらかもな・・・」
                    健一の言葉に、城嗣と純子は彼を見た。







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