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                     ー シーズン2:エピソード7 忍び寄る影 ー






                大通りを1台のミニパトが走っていた。
                運転しているのは村上佳美、隣でナビしているのがいつもの相棒である天道美香と
               いう女性警察官コンビであった。
                彼女達はこの通りをいつものようにパトロールしていて、今日も不審者等がいない
               か目を光らせてーのはずだが、美香はハンバーグをぱくついていて、そんな彼女に佳
               美はこんな事を言った。
                「ちょっとー、私にもちょうだいよ。時間がなくてミルクだけだったのよ。」
                「あは、ミルクだけ?牛じゃあるまいし。そんなんじゃ立派なお母さんになれない
                わよー」
                「お母さん?何よ、それ。」
                「だっていずれはなるでしょ。どうよ、もう彼に告白したの?」
                「ふん」
                佳美は顔をそらした。ので美香ははーんといたずらっ子のような顔をした。
                「早くしなよ、彼人気あるから誰かに取られちゃうぞー」
                「・・・。」
                「私がもらっちゃおうかなー」
                「美香!」
                美香は肩をすくめた。
                「怖い、怖い」
                やがて2人を乗せたミニパトは角までくると、スピードを緩めた。この先には交番
               がある。
                佳美は横目で中を探ろうとした。美香はそんな彼女を見てやれやれと頭を振った。
                「ホント、じれったいわね。まるでこそ泥よー」
                「ええ、こそ泥かも。」
                「・・は?」
                美香はじっと交番あたりを見ている佳美と同じように見た。
                すると交番近くの大きな木の下で隠れて何かを伺っているコート姿の男が立ってい
               るのが見えた。
                「・・・誰だろ。」
                「さあ・・」
                やがて男はその場を離れると、側に停めてあった車に乗り込んだ。そしてそれは動
               きだし、佳美たちもそっと付いて行った。

                車は人気(ひとけ)のない郊外に来ると止まった。そこには古びたアパートメント
               が建っていた。
                車から降りた男は辺りを見渡し、そのままそのエントランスへと消えて行った。
                佳美と美香はミニパトをちょっと外れた場所に停め、降りた。
                階段を上がる音に従い、上へと上がって行くと、やがて踊り場かどこかで立ち止
               まったのか、男の声が聞こえて来た。
                「・・・あいつはいなかった。どうやら本部へ行っているらしい。それとも、姿を
                くらましたかー」
                美香はぼそっと言った。
                「・・・誰の事かしら。」
                「決まってるわ、浅倉くんよ。彼、狙われているって話したでしょ。」
                「ー必ず引きずり出してみせますよ。・・ヤツを生け捕りにして帰れば褒美もたん
                まりだ。」
                男は話を終えたのか、携帯の電源を切った。そしてこう言った。
                「本部へ乗り込んで一気にやるか。」
                「そうはさせないわよ!」
                「・・何っ?」
                男は拳銃を構えて現れた2人を見た。が、彼は薄ら笑いをした。
                「ふんっ、警察か。しかも女だけで来るとはな。」
                「馬鹿にするのも今のうちよ。」
                「女だからって甘く見くびるなーって?お嬢さん方?」
                「・・こいつっ」
                しかし突然後ろから殴られ、2人はその場にうずくまってしまった。もう1人隠れ
               ていたのだ。
                「威勢のいいのだけは褒めてやる。」
                男達は彼女達を倒れたままにして足早に立ち去った。






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