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                    ー シーズン2:エピソード14 組織撲滅(前編) ー





               特殊処理班からのデータが送られてくると、捜査一課は一斉に色めき立った。
               そして吉羽と田中の両刑事もその波に揉まれまいと必死に聞き耳を立てた。
               「そうか、組織の人数は数万、それぞれの部署に5〜10名ほどの隊員に、それぞれ
               の隊長、そしてそれを纏める者が正副3人・・・そしてトップに君臨する「長」ー頭
               か」
               「ずいぶんと大きな組織だな」
               「こちらとあまり変わりないじゃないか」
               「おい、地図もあるぞ」
               「やつらのアジトかもしれん」
               「よし、分析しろ」
               メンバーは散り散りになってさっそくキーボードを叩き始めた。
               吉羽はじっと眉間に皺を寄せたままゆっくりと席に着いた。ので、田中はその間黙っ
               て後に続いたが、ようやく口を開いた。
               「すごい情報ですよ、これでやっと突破できる」
               「・・・・・・」
               「・・先輩?どうかしたんですか?さっきから黙ってますけど」
               「お前・・気にならんか」
               「え?」
               吉羽は田中を見た。
               「なぜあいつがこんな情報を持ってるんだ」
               「あ・・・・」
               「・・あいつ・・もしや」
               「もしや?」
               すると吉羽はやおら立ち上がり、歩き出した。
               「来い、田中。」
               田中は慌てて付いて行った。
               「は、はい」

               交番には珍しく純子や佳美の姿もあった。最も彼女達はおしゃべりに夢中で、2人の
               男達はそんな彼女達の署内のうわさ話とかに付き合いきれないとばかりにかなり離れ
               た場所に避難していたのだが。
               「あれから2時間近くなるぞ。よく喋る事あるなあ」
               「・・健、関心してる場合じゃねえ。今に話の流れがこっちに来るぞ」
               「ええ?」
               「ふん、ここも随分暇になったもんだ」
               「そうですか、暇ですか。こちらは大変ですよ」
               2人はもちろん女達も入り口を見た。そこには、吉羽刑事と田中刑事が立っていた。
               「入らせていただきますよ」
               2人はそう言うと入って来た。ので、健一は彼らの方へ歩いた。
               「こんな夜更けに何の用です?事件でも?」
               「鷲尾巡査部長、貴方も関係者?」
               「・・は?」
               吉羽は城嗣のところに来ると、こう言った。
               「警部補殿、貴重な情報ありがとうございました。捜査一課を代表してお礼申し上げ
               ますよ」
               「・・・」
               城嗣は眉を寄せた。吉羽の言い方がわざとらしいからだ。
               「ところで、どこであんな情報を?」
               「・・・いいだろ、どこだって」
               「ふ〜ん、それは言いにくいからですか?」
               「・・・・」
               健一は何か言おうとしたが、田中と目が合い、顔を背けた。
               「やっぱりな」
               「何が、やっぱりだ」
               「浅倉さん、あんたスパイだろ」
               「・・何?」
               「何の目的でここ(警察)に来た?ここの情報を向こうに流すためですかな?」
               健一は我慢出来ずに言った。
               「待て。俺は彼とずっと一緒にいるが、そんな事は絶対にない」
               「もしかしたら、あなたも同類かも?」
               「おい、いい加減にー」
               「いいさ、健。言わせておけ。あれが役に立ったのならそれでいい」
               「・・ジョー」
               「まあ、いいですよ。すぐに解るでしょうからね。ではまた」
               「また」
               吉羽と田中は睨んでいる女性軍に会釈をすると出て行った。
               「ホントにあいつ、むかつくっ!」
               純子はカリカリしている佳美を横目で見たが、心配そうに城嗣と健一を見た。








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