ー シーズン2:エピソード10 薬物調査 ー
捜査一課のとある壁に吉羽刑事が腕を組んで目を閉じていた。
田中刑事はそんな彼を見るとそうっと近づいた。
「・・先輩、何でそんなところに立ってるんです?」
「待ってるんだ」
「何を?」
吉羽は目を開けて視線を動かした。
「あー、来た来た」
やってきたのは、科捜研の職員だった。
「吉羽さん、これです」
「どうも」
彼が行ってしまうと、吉羽は渡された茶封筒の閉じてある紐を解き、中の書類を取
り出した。
そして目を通して呟いた。
「・・・そうか、なるほどな」
「先輩、何です?」
「例の”薬”だ」
田中は、ああという顔をした。
「何人もの人間が何かを打たれ、意識喪失で倒れていた。これはどこかの何者かが
人々を連れて行き、同じ薬を投与したと見た。そこでだ、科捜研にその結果を知ら
せてくれ、と頼んだんだよ」
「へえ、よく持って来てくれましたね。外部に漏れないように厳重にしているはず
じゃ?」
吉羽はポンと田中の胸を辺りを書類で叩いた。
「俺はな、いろんな方面に顔が利くんだ。それに、奴らに先を越されると我が捜一
の名が廃るというもんだ」
田中は自席に戻ろうとする吉羽の後を付いていった。
「ああ、そういえばそうですね。」
「いつも俺たちがやろうとすると先回りしてやがる。犬か、それとも忍者かー」
田中はあははと笑った。
「忍者あ?何言ってんすか、今時・・」
「そろそろ判明する頃だな」
「何が?」
純子は相変わらずお菓子を頬張っていたが、健一は敢えて無視した。
「例の”薬”さ。一体何が市民を苦しませたのか。そして連中の目的は何か。
・・・俺たちを撹乱しようとしているのか・・」
「私たちを・・・?」
「ああ」