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                      〜エピソード16 女達の対立〜




             その日は天気の良い、暑くも寒くもないのどかな午後だった。
             ホントワールは今日もおだやかな時間が過ぎてゆく。
             そしてそんな町中の区間を純子と佳美の2人が歩いていた。
             ここの町の女性警官たちは美人ぞろいだと人々の噂になっていた。なのでこうし
            て彼女達が歩いていると男性達がそろって視線を注ぐのだが、当の本人たちは知っ
            てか知らぬかいつものようにおしゃべりをしながら歩いていた。
             「でねえ、この前なんか頭に来たから蹴飛ばしてやったわ。」
             「まあ、佳美ったら。気持ちは分かるけど、あんまりハデにやると部長が飛んで
             くるわよ。」
             「いいのよ、ホント、あの部署ってダメなヤツばっか。役に立たないんだか
             ら。」
             そして2人は交番に近づくと、立ち止まった。一人の女性が立っている。中を
            伺っているようだ。
             「あら・・誰かいるわ。」
             「何か用なのかしら。・・中にいる筈だけど。」
             そして彼女達は女性に近づいた。
             「何かお困りですか?」
             「・・・・・。」
             女性は2人に顔を向けると、じっと純子の方を見つめた。
             その表情を見て佳美ははっとしたように目を見開いた。
             「・・純子、この人ー」
             「貴女が・・・白鳥・・純子・・さん?」
             「えっ、ええ、そうだけど・・」
             「貴女は彼のなんなの?」
             「彼?」
             「浅倉城嗣。」
             純子は女性を見つめた。
             「ジョー?・・どうしてそんな事聞くの?」
             「貴女は、いつも彼に馴れ馴れしいからよ。」
             「彼は・・そうね、彼とは旧知の仲ってとこかしら。私は彼とは同期で入って
             ずっと同じ訓練をしてきたわ。言わば”仲間”ね。・・・これでいいかしら?」
             「・・・貴女は別に彼には恋愛感情はないわよね。」
             「そうね・・・でももしかしたらないとは言い切れないかもしれないわ。私には
             好きな人はいるけど、でも彼だって同じくらいに好きだわ。口は悪いけど優しい
             し、何しろ女心が分かるし頼りになる人よ。」
             「そう。分かったわ。」
             女性はそう言って歩いて行こうとしたが、行きかけてこう続けた。
             「私、確信したわ。貴女が邪魔な対象だって事が。」
             そしてタクシーを拾い、行ってしまったが、純子は彼女がもういないのに関わら
            ず言った。
             「私も確信したわ。貴女ね、ジョーを追いつめている女は。」
             すると純子はそこに止めてあった白バイにまたがった。
             「じゅ、純子、何処行くのよ。」
             「決まってるわ、あの女を突き止めるのよ。」
             「えっ。」
             そして彼女は行ってしまった。
             「えー、もう・・。」
             「あれ、村上さんじゃない。どうしたんだい?」
             佳美は振り返って健一を見た。
             「今、ジュンの声がしたような気がしたけど・・」
             「あ、ああ、私も用事を思い出した。ごめん、鷲尾くん。浅倉くんによろしく
             ね。」
             「あ、村上さんー」
             健一は駆けて行く佳美の後ろ姿を見てため息をついた。
             「・・・何だ、変なヤツだな・・。」




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