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                    〜エピソード10 目撃者は女子高生〜




              2人の女子高生たちが駆け足でちょっと振り向きつつ道を急いでいた。
              しかし、交番前に付くと急にゆっくりとした足取りになり、一人がそうっと
             中を覗き、そしていそいそと友人のところへ戻って来た。
              「いる、いる!」
              「あー、ドキドキしてきた。」
              彼女たちは手鏡を取り出して髪を整えたり顔を触ったりし始めた。今時の
             女子高生は勉強道具よりもお化粧関係の物で鞄の中が溢れかえっているので
             ある。
              「あ〜、変じゃないかなー。髪切るんじゃなかった〜」
              「絶対、久美の事見ないって。」
              「どーいう意味よー、あんた、抜け駆けしたら許さないからね!」
              「よし、行こう」
              「待ってよ!」
              2人は中へ入って行った。そして何事かと顔を上げた城嗣のところへやって
             来た。
              「ジョー!」
              「・・・気安く呼ぶな!」
              しかし一人が抱きついて来たので彼はよろけそうになった。
              「いやーん、怒った顔もステキ。もっと怒って」
              「あっ、ずるいっ」
              「離れろっ、何だよ、いきなり。」
              城嗣は振りほどこうとしたが、無理だった。
              彼女たちは離れるどころかよりしがみついて甘え出した。
              「だって〜、怖かったんだもーん」
              「凄いの見ちゃったのー」
              「凄いの?何だ、それ。」
              「人殺し!」
              「・・・・何?」
              「すっごい怖そうなおじさんが、撃ち合いしてたの。」
              「どこだ、案内しろ。」


              城嗣は彼女らをパトカーに乗せて交番を後にした。
              そしてしばらく行った町外れに白い建物が見えた。パトカーは静かに近づき、
             そして止まった。
              「ここに間違いないか?」
              「うん、ここ、ここ。」
              城嗣は拳銃をベルトのホルスターに差し、ドアを開けた。
              「いいか、ここで待ってろ。動くんじゃねえぞ。」
              彼はそう言って出て行った。女子高生たちはそんな彼を見ていたが、顔を見
             合わせた。
 
              城嗣は建物に近づき、辺りを警戒しながら歩いた。
              (・・・・何一つ音がしない。どこかに潜んでるのか?)
              そして一方の女子高生たちはパトカーから降りて彼が行ったと思われる方向
             を歩いた。
              「ジョーってばどこへ行ったのかな。やっぱ、待ってられないよね。」
              「そうだよ、やっぱ、ちょっと見てみたいじゃん?」
              「一緒にいられるチャンスだし。」
              彼女たちはまるで遊びに来ているかのような感じで大声でおしゃべりしてい
             た。ここが殺人現場だと教えた事を忘れたかのようにすっかりいつもの調子
             だった。
              そんな彼女たちの気分を吹き飛ばすかのように背後で凄みのある声がした。
              「ここで何をしてる。」
              ふりむくと、サングラスをしたがたいの大きいいかつい男たちが立っていた。
              すると、その中の一人が彼女たちを見てこう叫んだ。
              「あっ!あのガキども、あの時の!」
              2人は青ざめた。一人の男を撃った男で、彼女たちを発見して追いかけてき
             そうになったのだ。
              「あっ!ヤバい!」
              「逃げよ!」
              2人は駆け出した。
              「待てっ!」





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