女子高生たちは今までに走った事ないような勢いでとにかく脚を動かした。
捕まったら何をされるか分からない。
「キャー!!助けてー!!」
男は笑った。
「バカか。誰も来やしないよ、こんな所。」
そんな時だ。銃声がして、男の脚が撃ち抜かれた。
「うわあっ!」
「・・・・な、何だ・・・?!」
城嗣がどこからともなくやってきて、男たちに殴り掛かり、蹴り上げた。
男たちは彼を見て一斉に驚いた表情をした。
「・・・・警官じゃねえか!・・・・くそっ、あのガキいつの間にー」
城嗣は彼らが怯んだ隙に、女子高生の腕を取ると走り、倉庫の裏に回って
潜んだ。
「出てくるなって言ったろ。」
「だって・・・・」
「・・・お前らの顔知ってるようだったな。」
「実は・・・顔見られちゃってー」
「何?何故それを早く言わないんだ!」
「・・・ごめんなさい・・・」
城嗣はため息をついた。
「いいか、じっとしてろ。動いて何かあっても知らねえぞ。」
彼は様子をうかがいながら出て行き、見つけた男を撃った。そして相手が
倒れたのを見届けて改めて白い建物に向かった。
そして中を慎重に伺い、足を踏み入れた。
そこには数人の男が集まり、異様な雰囲気が漂っている。
(・・・・5人か。他に隠れている奴はいなさそうだな。)
「何の取引だ?ヤクか?」
男たちはその声に驚き、振り向いて城嗣を見た。
「!!・・・警察だ!」
「・・・・くらえっ!」
男たちは銃を構えたが、それより早い動きで城嗣が相手の銃を撃ち落とし、
彼らに蹴りを入れた。
「ぐうっ!」
「この野郎っ!」
城嗣はかかってくる男たちを次々に倒していまい、彼らは床に伸びてしまっ
た。
「・・・おめえ、ただの警官じゃねえな。」
「さあな。ただ言える事は、お前らは俺の敵じゃねえって事だ。」
彼は無線のスイッチを入れた。
「浅倉です。薬物取引の現場を押さえました。場所はー」
数分後。2台のパトカーがやって来た。次々と警察官が降りて来て、建物の
中へ入って行った。
そして健一がやってきて城嗣のところへ近づいて来た。
「いないからどうしたのかと思ったぞ。」
「俺も気づいたらここにいたよ。」
「ええ?」
所長が2人のところへやってきた。
「ごくろう。よくわかったな。」
「それは、女子高校生たちが教えてくれたんですよ。」
所長はふっと笑った。
「なるほど。」
そして彼は行ってしまい、健一は城嗣に言った。
「女子高校生?」
「ー忘れるところだったぜ。」
城嗣はそう言うと、倉庫に向かった。健一は何も分かないまま付いて行った。
そこには2人の女子高生がちゃんと待っていた。
「おい、終わったぜ。もう大丈夫だ。」
「あっ!ジョー!」彼女たちは抱きついた。「怖かったー」
「良かったー、無事で。」
彼女たちはふと健一を見た。
「あ、今頃来たの?健ちゃん。」
「・・・今頃って、何だよ。俺、何も知らなかったんだぞ。」
「べーだ。」
健一は城嗣にべったりくっついている彼女たちを見てやれやれとため息をつい
た。
交番に戻った城嗣と健一は女子高生を見送った。
「今日はありがとよ。だがな、もう二度と危ない事に首を突っ込むな。何が
あっても知らねえからな。」
「分かったわ・・・」
「でも、話しとかは聞いてくれるでしょ。うちの男子ってなんかつまんない
し・・・」
そこへ純子が白バイから降りて来た。
「またいたの?こんなところでおしゃべりなんかして。」
「あっ、ジュン。」
「どこへ行ってたの、ジョー。誰もいないんだもの、びっくりするじゃない。
しかも、こんな子たちと一緒だったなんて。」
「ねえ、ジュン。ジュンはいいから、健ちゃんのお守りしてなよ。」
「そうそう、ジョーは私がもらうから。」
「ちょっと!私がって何よお」
「ふーん。」
彼女たちはわいわい言い出し、純子は彼女たちの背中を押した。
「もうっ、いい加減にしなさい。」
「じゃあね、ジョー。ーあ、ついでに健ちゃんもバイバイ!もう一つついで
にジュンも。」
「気をつけて帰れよ。」
「はーい」
純子はまあと言う表情で去って行く女子高生たちを見つめた。
「本当に生意気ねえ。」
「何だか、あれ以来不要な仕事が増えたような。。」
「健?あなたもあの子たちのいいなりになったりしてないでしょうね。」
「何だよ、いいなりって。そりゃあ困ってたら助けるのは当たり前じゃない
か。」
「という事はやっぱりあの子たちとー」
「俺じゃなくて、ジョーの方が・・・ってあ、逃げたな。」
「もうっ、人の事はいいの!」
