『安息の地』
目覚めると、そこは光眩い場所だった。
「…ここはどこだ。地球?…いや、違う。俺は死んだはずー」
ジョーはゆっくりと立ち上がり、歩き出した。もう体の痛みや
苦しみがすっかり消えていた。
「ここはもしや天国なのか?」彼は自嘲気味に笑った。
「俺が天国だって?地獄へ行き損ねたって事か?」
やがて彼の目の前に一人の老人が現れた。そしてこう言った。
『ようこそ、ジョージ・アサクラ。…ジョージと呼んでも?』
ジョーはふとアランを思い出した。この名で呼ぶのは数えるほ
どしかいない。
「…好きにしな。」
ジョーは老人の優しげな瞳に少し戸惑いながらも聞いた。
「ここはどこだ?」
『死者が来る所だ。』
「…やっぱりな。」
『ジョージ、君は選ばれたのだよ。』
「選ばれた?何に?」
老人は下の方を指差した。
『あれをご覧。』
ジョーはそこに見える青い星を見た。
『あれが、君が救った地球だ。』
「俺が救った?…そうなのか?俺、何もしてないぜ。」
『いや、君が投げた武器がたまたま時限装置に入り込み、止め
たのだよ。その役に、君は選ばれたのだ。』
「言ってる意味が分からないな。」
老人は頷いた。
『まあいい。取りあえず、あの中で休みたまえ。』
ジョーは老人の後ろの方に見える小屋を見つめた。そして何も
言わず、素直に向かって行った。
中に入ると、窓際に男女が背中を向けて立っていたのが見えた。
やがて2人は振り向き、彼を見ると微笑み、彼の名を呼んだ。
そして母親は駆け寄って来た小さな男の子を抱き上げた。