『  お袋の味 』





                 「今日のお料理はなあに、ママ」

                 「今日は、あなたも大好きなカツよ」

                 「うわあい、ボク大好きだよ、ありがとう、ママ」


                 牛肉を軽く叩き、5mmくらいの厚さに伸ばす

                 ボウルに卵を溶き、そこに伸ばした牛肉を入れて5分間ほど浸す

                 衣を作る。材料は、細引きパン粉、イタリアンパセリの荒みじん切り小さじ2
                 パルジャーノのすりおろし25g

                 ボウルから牛肉を取り出し、衣をまぶす

                 プライパンにオリーブオイルを1cmほど入れ、170度まで熱して
                 衣をまぶした牛肉を揚げ焼きにする

                 油をよく切って、皿に盛りつけ、レモンを添えて出来上がり



                 「牛肉のカツレツ。俺のお袋の味だ」
                 ジョーがそう言って、その料理をジュンと甚平の前に置いた。
                 「わあ、旨そう〜」
                 「う〜ん、いい匂いね・・」
                 2人は早速ナイフを入れた。
                 「いっただきま〜す」
                 「・・・う〜ん、美味しいわ〜さすがジョーね」
                 「ホント、天才だよ。いっそ、うちで雇おうか?」
                 ジョーは笑った。
                 「いいよ。・・それじゃ、行かなくちゃなんねえから、じゃあな」
                 「あっ、ジョー」
                 「忙しいのね」
                 「ああ」
                 ジョーはガラスの入り口を開けて出て行ってしまった。
                 「何だあ・・まだいてもいいのに・・」
                 「甚平、そっとしておきましょ」
                 ジュンはジョーの気持ちを察したようにそう言った。
                 「うん・・」
                 ジュンはジョーに何か子どもの頃の思い出の料理を作って欲しいと言った手前、
                 あまり無理強いは出来ないと思ったのだ。
                 甚平も同じだったので、食べる事に専念した。
                 「何だかジョーの兄貴のママに会ってみたくなったなあ。どんな人だったんだろ
                 う」
                 「そうね・・きっと優しくて暖かな人よ」

                 ジョーは久しぶりに故郷の料理に触れた気がした。
                 料理好きの母親は家にいるときはいつも彼のためにおやつや料理を手作りしてい
                 た。
                 彼女は幼い息子の笑顔が見たくてどうやって彼を喜ばせようかと常に考えてい
                 た。

                 ジョーは小声で天に向かって何かを呟くとまた歩き出した。







                    per_mamma






                                 ー 完 ー






                                  fiction