『 相棒エピソード0 <4>夢を語らう 』




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              爆音が響き渡るコーナーをジョーは車に寄りかかった状態で眺めていた。
              彼は天性の腕前を認められ、上級コースへ飛び級とされたが、なぜか心の中で渦巻く思
             いがあった。
              それが一体なんであるかわからない。
              でもそれはどこかで不穏な事件が起きるたびに起きた。

              ジョーには忌まわしい出来事がある。
              両親が何者かによって殺されたことだ。
              自分を助けてくれた南部は、最近何かについて調べているとかで忙しそうにしている。

              俺はあの日を忘れない。
              いつかこの手で両親の仇を取る。
              相手がたとえ巨悪で恐ろしいものであっても俺は負けないー。

              ジョーはそんな思いを振り切るかのようにレースに勤しんだ。
              そして時折開催される大会でも、その腕を披露していた。

              そんな時、ジョーははるか上空を一機のセスナが飛んでいくのを見つめた。
              「そういえばあいつ、パイロットになるために学校へ行くって言ってたな」
              やがてそのセスナはぐらっと揺れたかと思うと、下降して森へと突っ込んでしまった。
              ジョーは車に乗り込み、その場へと向かった。

              鬱蒼とした木々の上にセスナ機が引っかかっている。
              ジョーは車から降りると、声をかけた。
              「おーい、大丈夫か?」
              するとドアが開いて、健がひょいと降りて服についた埃を叩いた。
              「やれやれ、やっちまったよ」
              「ふん、お前まだまだだな」
              健はふんと笑った。
              「・・言ってくれるなあ。セスナ機が調子悪いんだ」
              「そう言うことにしとくよ」
              すると健はジョーを見た。
              「新聞読んだぜ。また記録出したんだってな」
              「・・まあまあだ。なんか最近身に入らなくて」
              「どうだい?俺たちどちらが先に大物になるか競争しようぜ」
              「その腕で、か?」
              ジョーがバカにしたように笑うと、健も笑った。
              「今日はたまたまだ。いつか、親父と同じように腕のいいパイロットになってやる」
              「俺も世界一のレーサーになってやるぜ」
              2人はお互いを見た。どちらも闘志に燃えたものが瞳の奥に揺らいだ。
              そしてじゃあなと分かれた。

              その後2人は南部の元を離れ、それぞれ寄宿先へと向かっていった。
              夢を実現させるために彼らは旅立ったのだ。
              南部はじっと彼らの姿を見つめた。
              このままずっとあの2人が立派な大人に成長していければいい。
              何事もなく心配することもなく過ごせてくれればいい。

              しかし南部は一方で何かを思案していた。
              そして机上にある新聞を見つめた。



                              ー 続く ー






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