と、何かが近づく気配がして2人はハッとした。そして暗がりから出てきた人物を見
た。
全身黒ずくめだったが、長い髪が揺れた。
「Black Widow!」
女たちは金庫を狙ってきたが、2人は彼女たちを抑えに出た。
「どけっ邪魔をするな!」
「これは渡さん!大事な証拠品だ!」
女たちは3人くらいいたが、男2人を相手に堂々としている。
そこへ用心棒の男たちがやってきた。
「くそ、出直しだ」
女たちは逃げ、健一と城嗣はふうっと息を整えて彼らを待った。
「おい、奴らか!」
「盗られなかったようだな、いいガードを雇ったもんだ」
「それはありがとう。俺たちも礼を言うぜ」
健一はニヤと笑った。
「・・何?」
「おかげで現場を押さえることができたからな」
「どういう意味だっ」
すると、けたたましいサイレンが聞こえてきた。通報を受けてパトカーがやってきた
のだ。
「・・・どういうことだ・・」
「まだわからんか?」
男たちは健一と城嗣を見た。
「・・まさか」
「そのまさかだよ」
「おめえらの悪事は全て記録させてもらったぜ」
やがて声がして一斉に警官や刑事らが流れ込んできた。
「確保しろ!全員だ!」
「もう逃げられんぞ!」
男たちは抵抗するも捉えられ、また隠れていた主人も逮捕された。
自分たちに敬礼する警官を見ながら、健一たちは歩き出した。
「やれやれ、なんとか守れてよかったな」
「俺は、あんな金彼女たちにくれてやっても良かったと思うがな」
「おい、ジョー。なんてことを言うんだ」
「どうせ不正して手に入れた金だぜ。盗られたって構わねえだろ」
「そうかな・・・」
「そんな気がしただけさ」
健一は城嗣の横顔を見たが、視線を前方へ戻した。