受け取った先は捜査一課だった。
                「・・・本当ですか?あいつらは全員ブタ箱にー」
                『本当だーあっ、なにすんだ』
                女性を抑えていた女はそのままの姿勢で受話器を奪い取るとこう言った。
                「ごきげんよう、皆さん。(ざわめく捜一にニヤリと笑う)聞いてのとおり、私た
                ちは署長室にいる。受付の女と爺さん一人も一緒だ」
                『・・人質だ』
                「いいかい、よく聞くんだよ。私たちがここにきたのは他でもない」
                『・・・解放だな』
                「おや、ここの人たちって頭いいんだねえ。それなら話は早い。今から1日やるか
                ら全員自由にするんだ」
                『・・・1日、だと?』
                「そうよ、長いもんじゃないの。それじゃよろしく」
                『ああ、待てー』
                女は受話器を置くと、またそのままの姿勢で戻った。
                「署長さんたちも付き合ってよ」
                「・・・・・」



                さて署長室に立てこもり、逮捕したメンバー全員の解放を要求したとの情報がやが
               て記者番らに伝わり、それは瞬く間にニュースとなって全国放送された。
                そしてそれはラジオでもー。
                『・・警察本部内に立てこもった女2人は人質を取り、さらに署長室を占領してす
                でに逮捕された仲間たちの解放を要求しておりますが、一般の庶民が人質となって
                いる状況に関係者の間に緊張が走っていますー』
                城嗣はぎゅっとハンドルを握って舌打ちをした。
                「・・・味な真似をしやがって・・」
                「様子を見た方が良さそうだな」
                「だがどうする?下手に動けないぜ」
                「(はあと息を吐く)作戦を立てよう。ジュンの耳にももう入っているだろうから
                な」



                そしてしばらくして警察署近くで建物を伺う3人の姿があった。
                彼らは顔を見合わせ、そしてじっと一点を見つめた。





                            ー 後編へ続く ー













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