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                             ー黄金の翼シーズン3:エピソード1 手紙 ー






               交番で談笑していた鷲尾健一と浅倉城嗣は、誰かが入ってくる気配に同時に顔を向け
              てそれを見た。
               そんなわけで、入って来た白鳥純子はこう言った。
               「双子みたい」
               「誰が双子だって?」
               「だって、いつも動作が一緒なんだもん」
               「似てねえだろ、どう見たって」
               「二卵性かも」
               すると後から入って来た村上佳美は大きな紙袋で前が見えないのか、よたよたしなが
              ら歩いた。
               「ちょっとー、純子ったら手伝ってよー」
               「ああ、ごめん、ごめーん」
               しかし純子はそう言ってふと足元を見てすぐさま健一・・ではなく、城嗣に抱きつい
              た。
               「キャー!」
               「は?」
               健一は純子を見た。
               「何があった?」
               「あれ、あれ!」
               健一は、何やら床でうごめく黒い物体を見た。
               「・・なんだ、蜘蛛か」
               すると佳美は目を見張ってそこを見て「あらあ、蜘蛛ちゃ・・・」と言いかけ、紙袋
              を放り投げて純子と反対側に抱きついた。
               「きゃあ〜、いやあ〜ん」
               「おいっ、おめえは虫平気じゃねえかよっ」
               「あらん・・そうだったかしら?」
               「この前なんか楽しそうにゴキブリを追い回してたぜ。なんかやつが可哀想になっち
               まったよ」
               「言わないでよ、バカっ」
               佳美は思いっきり城嗣を叩いた。
               「いてっ」
               「はは。さすがの村上さんも蜘蛛は苦手か」
               健一はそう言ってしゃがんだ。
               「何だってこんなところに。つぶさなくて良かったなあ。」
               「健っ、早く追い出してよっ」
               「分かった、分かった」
               健一は新聞紙を丸め、そっと蜘蛛を中に入れて外へ出て行った。そして草むらの中に
              放り込んだ。
               「もう来るなよ。あの通りだからさ」
               戻って来た健一に、腕組みした純子が怒ったように言った。
               「健ったら、どうして蜘蛛なんかに優しくすんのよ」
               「お前は知らないのか?蜘蛛はな、縁起物なんだぞ。蜘蛛が巣を作った家は栄えるっ
               て言うんだ。それに、殺したら罰が当たるぞ」
               「ま、健ったらけっこう古くさいのね」
               「アメリカでは、蜘蛛の巣は夢をキャッチするというインディアンの言い伝えがある
               から、それをモチーフにした飾りを吊るすって言うぜ」
               「へえ〜浅倉くんって意外に物知りなのね」
               「何だよ、意外にって」
               「あー、それよりお腹空いちゃった〜、今日のメインはなあに?シェフ」
               「あ?また俺に何か作れって言うのか?」
               「他に誰がいるのよ」
               城嗣は頭を振って引っ込んだ。
               「・・分かったよ」
               「バンザーイ!」
               女性陣はそう言って両手を上げて歓迎の表現をしたが、健一まで喜んでいるのを見た
              城嗣はがっくりした。





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