「それで・・その秘密というのは何だか知っているのか?」
健一の問いに、城嗣はふうっと息を吐いた。
「いや・・。だが、昔親父が俺に持たせたものの中に気になるものがあったん
だ。・・もっとも、まだ子供だったからよく解らなかったけどな」
城嗣はそう言うと、防弾チョッキの内ポケットから何かを取り出した。
健一はそれを見てこう言った。
「ロケット?」
城嗣はそれを開け、彼に見せた。何か書いてあるが、何かの記号のようだ。
「・・読めないな」
「ああ、暗号だ」
「暗号・・・」
「特殊処理班に渡せば、何か解るかもしれない」
「そうだな。それじゃ急いだ方がいいな。奴らに見つからないうちに」
2人はその暗号の書かれたロケットを本部に出向いてしかる部署に渡した。
そして彼らは署を出た。
「これできっと決行の合図が来るかもしれないな」
そして彼らはパトカーに乗り込み、それは発車したが、その後ろで彼らを見ている
人物がいた。
そして口にしていたタバコを投げ捨てると、そのまま立ち去った。
その日の夕刻、一本の電話が本部の上層部に入った。
取った幹部はしばらくして署長に言った。
「あの、署長にお電話です」
「誰だ」
「それが・・名乗らないんです」
署長はうさん臭そうに受話器を取った。
「はい。匿名ですかな」
『浅倉城嗣警部補というのがそちらにいるだろう』
「・・浅倉?・・ああ、あいつはここではないぞ」
『知ってるよ。あいつに関してすごい情報があるんだがね』
「情報?何だ」
『奴の親はお前らが追っている組織の頭だった』
「・・・・・」
『それなのに警察職員としているはマズイんじゃないのかな?犯罪者の息子だよ。
今に何かしでかすかもしれないぞ』
電話の向こうの男の声は明らかに笑っているようだ。なので署長は叫んだ。
「何者だね、君は。名乗りたまえ!」
『せっかくリークしてやってるのに、感謝して欲しいね』
するとそこで電話が切れた。
「・・署長?」
幹部は、署長が受話器を置くのをじっと見つめて声を恐る恐る掛けた。
「席を外してくれ」
「・・は、は」
幹部はお辞儀をして出て行った。
署長はしばらくだまっていたが、やがて受話器を取った。
「・・・ああ、私だが。繋いでくれ。至急だ」
